第16章 rational
バイクから降りてこちらに向かってくるのは
やはりランだった。
近づくにつれ、その異様な雰囲気と充血した目にタケミチはドキリとなる。
その瞬間、勢いよくランが万次郎に飛び込んで、万次郎がそれを受け止めた。
震えているランを、ギュッと抱き締める万次郎。
「やっぱダメだったか…」
万次郎が呟いた。
ランは何も言わない。
「お前はずっと俺のそばにいろよ、ラン…」
2人の光景に、タケミチは茫然としたまま固まる。
「お前まで…俺から離れるなよ。絶対に。」
万次郎の腕の力が強まる。
「…そういうことだからさタケミっち」
「あ、はいっ」
突然話を戻され、タケミチは慌てて我に返る。
「俺に貢献しろ、タケミっち。
…俺に交換条件を出したんだ。
失敗したら……殺す。」
"殺す"
ランを抱き締めたまま、目だけで殺気を放つ万次郎にタケミチはゾクッと鳥肌が立った。