第16章 rational
「タケミっち…
場地をバルハラから連れ戻してくれ。」
「!」
「俺、あいつのこと、大好きなんだ。
頼まれてくれるか?」
「…はいっ!マイキーくんの頼みならもちろん!
でも…1個だけ、俺からも頼み事していいっすか?」
「ん?なに?」
タケミチは立ち上がり、意を決したように真剣な顔をした。
「……稀咲を…
稀咲を東マンから外してください!!」
「あ?」
「なんであんな奴東マンに入れたんすか?!
理由は説明できないすけど、あいつはヤバいんです!
あいつは…稀咲は…
この先絶対に東マンをダメにしますよ!!」
体が震える…
どう説明しても分かるわけないけどっ…
「いいよ。」
ニコッと笑う万次郎からの意外な言葉。
「え?!いいの?!」
呆気にとられていると、
万次郎は真顔になった。
「近いうちにバルハラとぶつかる。
それまでに、お前が場地を連れ戻せ。
お前が、稀咲より役に立つ奴だと証明しろ。」
その言葉に、ゴクリと生唾を飲み込んだ。
「稀咲がやべー奴なのは俺も分かってる。
同時に、稀咲の力も認めてる。
東マンのこの先に、稀咲の力は必要だ。」
その時、ブォンブォンとバイクの音がした。
「ん…?ランの音だ。」
「…え?」