第16章 rational
「三ツ谷!!さっきから何盗み聞きしてんだ?」
突然万次郎がその名を発したので、タケミチは視線を走らせる。
「出てこい!お前の銀髪がチラチラ見えてんだよ!」
その方向を見ると、
木陰から本当に三ツ谷が出てきた。
「いやーバレたかー。
ちょっとトイレ探してたら話し声が聞こえて」
「トイレじゃなくて、ランを捜してたんだろ?
…ほら……」
万次郎がランを三ツ谷に押し付ける。
三ツ谷は顔を歪めて自分の肩にランの頭を押し付けた。
「… ラン…」
場地のことが相当ショックだったのだろう。
ランは憔悴しきっている様子で何も言わない。
「そーだ。ちょうどいいや三ツ谷。
お前んとこの弐番隊にタケミっち入れることにした。」
「は?!」
「こないだランとそう決めたんだ。
なぁ?ラン。」
三ツ谷の肩でこくこくと頷くランに、
三ツ谷は苦笑いする。
「ラン…ったく…」
「タケミっち♡
今日から正式に東マンのメンバーだ。
よろしくな♡」
万次郎の言葉に、タケミチはわざとらしく三ツ谷に頭を下げる。
「よろしくおねがいしやーっすっ☆」
「なんで盗み聞きなんてしちまったんだろ…」
三ツ谷は顔を引き攣らせてからランの肩を抱いて歩いていく。
その隣を、万次郎も歩いて3人は行ってしまった。