第16章 rational
「…一虎がいるから?」
悲しく響いたその言葉に、場地は目を見張った。
「お前…なんでそこまで」
「そのくらい知ってるよ。私を誰だと思ってんの」
少しの沈黙の後、場地はハハッと笑った。
「そうだよな…お前は東マンのランだもんな。
でもな、別に一虎がいるからバルハラに行くわけじゃねぇ」
「じゃあ何?」
「しつけぇ奴だなお前は。
そんなだと、三ツ谷に嫌われんぞ」
ハッと目を見開くランにククッと笑う。
「そんなの、関係な」
「ランお前、俺に犯されたい?」
「……は?」
「お前がいるからバルハラ行くんだよ。
俺はお前を見てると、どうにかしたくなる。
理性が飛びそうになんだよ。わかるー?」
「…は?何言って…」
狼狽えるランの頭を掴んで引き寄せ
目と鼻の先で冷たく笑う。
「あー…分かんねぇか。だってお前、"女"だもんな」
その言葉にズキッと心臓が傷んだ瞬間
「っ!!!」
場地に噛み付くように唇を奪われていた。
「…っや!!!」
懇親の力で押し退ける。
唇に手の甲を当ててハァハァと息をする。