第16章 rational
場地はバイクのバックミラーをチラと見る。
後ろから、赤いスカーフと特攻服をたなびかせて真剣な目をして追いかけてくるランがいる。
さすがはランのブラックバード。
どんなにスピードを出してもみるみる差が狭まっていく。
仕方なく場地はバイクを止め、
ため息を吐いた。
「どこまで追ってきやがる。白バイかてめぇは」
「黒バイだよ!」
「…いや、そーゆーことじゃねぇし…」
場地は苦笑いしてバイクをおりる。
ランもバイクを降りて詰め寄った。
「どうして出ていっちゃうの圭介!
バルハラに行くとか嘘だよね?!」
「嘘じゃねぇよ。俺はバルハラに入る。
もうお前の敵だ。関わるな。」
「どうして?!きっと千冬だって黙ってないよ!」
「あ?千冬?あいつは俺に逆らわねぇよ」
「突然どうしたの圭介?おかしいよ最近」
「うざくなったんだよお前らが。
俺がどこ行こうと勝手だろ」
「うそ。何か考えてることがあるんでしょ?」
その言葉に、場地の眉がピクリと動く。
「分かるよ。圭介は私の…幼なじみだもん」
少し潤いを帯びたランの瞳が突き刺さり
息が詰まりそうになった。
……そんな顔して俺を見るな…
「圭介が東マンを捨てるはず…ないもん。」
「・・・」