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progress ~東リべ卍~R18~

第16章 rational



「んー。これ、やっぱ美味しいね。
最後なんて辛いな〜。
どーせ教えてくれないんでしょー?」


「ああ。教えるもんか。」


フッと笑った場地の顔も、
どこか哀しみを帯びていた。


結局どら焼きの店は最後まで教えてくれなかった。


帰り際、場地はいつもみたいに、
またな、とも、また来いよとも
言えなかった。


「じゃあね圭介…ありがとう」

「…おう。」


ドアを閉める時に一瞬目が合ったランの顔が、見たことの無いほど哀しく儚げで、
場地の胸がチリチリと焼かれるように熱くなった。


「くそ…っ…なんでそんな顔すんだよ…」


てめぇは三ツ谷と幸せになったんじゃねぇのかよ
昔からずっとずっと恋焦がれてきたあいつと…。

そんな顔させたくて
俺が死に物狂いで我慢してるわけじゃねーぞ。


「はぁ…っ。俺もこれが最後だな…」


そう言って生どら焼きを齧っていると、
先程出ていった三毛猫が窓から戻ってきた。


「おう…なんだっけお前…あー、エスペケか…。」


切なく笑って生どら焼きをちぎり、分け与える。

三毛猫は嬉しそうにチロチロと舌を出して頬張りだした。
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