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progress ~東リべ卍~R18~

第16章 rational



一瞬、時が止まったように感じた。


「なんで…知ってるの?」


「そんくらい、風の噂ですぐ耳に届くだろ」


「え……」


「普通、付き合ってる男がいんのに
他の男の家にノコノコ来て2人きりになるとか有り得ねぇだろ。お前さ、マジで頭大丈夫?」


「・・・」


別に隠していた訳では無いが、
なんとなく、周りに知られたくなかった。

それは、自分に対して接する周りの態度が変わってしまう気がしたからだ。


そう、たとえば、
こんなふうに…



「お前もう、俺の家、二度と来んな。」


場地の目が、今まで見たことないくらいに
氷のように冷たく感じた。


「俺、三ツ谷と殺り合いになりたくねーし」


「・・・」


「だからそれ、最後のどら焼きな。」


ランは、どことなく、心にポッカリ穴が空いたような気分になった。


「…そっか…。そうだよね…」


確かに三ツ谷だって、いい顔はしないだろう。
自分自身も、こうして2人きりで場地の家にいることに、なんとなく後ろめたさを感じているのがいい証拠だと思った。


ランは、行き場のない空虚な感情と、どうしようも無い切なさをこらえて、ゆっくりと立ち上がり、無理に笑顔を作った。
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