第16章 rational
「っあ!!ミケちゃん!!」
あまりの怒声のせいか、ランが勝手に名前をつけた三毛猫のミケは外へ出てってしまった。
「あーあ…圭介のせいで…」
「あぁ…ミケぇー…ごめんな戻ってきてくれ…」
まるで女に捨てられたかのように
窓の外に手を伸ばして茫然とする場地に思わず笑いが込み上げた。
「くくくっ…ははははっ」
「てめぇ何笑ってやがる…
つーか……ミケ?って俺まで何言って…」
「あの子の名前だよ」
「勝手につけてんな。そんなダセェ名前却下。」
「えぇー?
じゃあ何かセンスある名前でも思いつくわけ?」
「あいつが戻ってきてくれたら考える。」
「なにそれ、思いつかないからって〜」
「あん?ナメてんのかてめぇ。
だいたい千冬の猫だって俺が名付けてやったんだぞ、
XJと書いてペケジェー。」
「え、そうなの?由来は?」
「あいつのバイクだよ。YAMAHA400XJ。」
「なーんだ、まんまじゃん」
「なんだとコノヤロー!まんまじゃねーだろ!」
「じゃあミケはあれかな。
圭介のゴキのGSX250Eにちなんで…エスペケとか?」
「エス…ペケ…?…っぶ!ダッセエー!」
「はぁ?!だってゴキなんて付けたらゴキブリ飼ってんのかと思われるよ?!」
しばらく言い合いをしたあと、いつの間にか笑いあっていた。