第16章 rational
場地は一瞬ピキンとこめかみに青筋を立てたが、ランが猫と戯れている様子がこの世のものとは思えないくらいに微笑ましい光景すぎて、いつの間にか心がジワジワ温かくなってしまっていた。
「…あー…マジ癒されんな……
って…何言ってんだ、俺!
おい!!ラン!!
お前何しに来たんだよ?!」
「へ?何しに来たって…
そりゃあ会いに来たに決まってんじゃん。
だってずーっと会えてなかったし、
連絡無視するから何かあったのかと思って」
「……っ…」
(そんな顔してそんなこと言うなよ!)
懇願するような視線に耐えきれなくなり、
ふいっと顔を背ける。
「てゆーか…1度もお見舞い来てくんないとか…私のこと全く心配じゃなかった?…連絡無視すんのも、もしかして私のこと嫌いになっちゃったとか?」
悲しげに呟いたその言葉に、場地はついに奥歯を噛み締め、ギロリとランに視線をぶつけた。
「こっちの気も知らないでてめぇは!!」
「え?」
「心配しすぎて禿げそーになってたわ!!
つーかその前に!てめぇが死にかけた時なんかこっちまで死にかけたわボケェ!!!」
「・・・」
「・・・」
物凄い迫力の場地に、何も言えなくなってしまい
ランはポカンとした表情のまま固まる。
妙な沈黙が流れてしまった。
猫まで固まっている。