第16章 rational
本当はもちろんそんな事ではなくて、
三ツ谷がきっとずっとそばについているんだろうということもあったし、他の奴らもおそらく次から次へとお見舞いに押しかけていただろうから自分まで行ってランの休息を奪いたくなかった。
三ツ谷との邪魔をしたくはなかったし、なによりランには少しでも休んでほしかったから。
しかしそれよりも、
もっともっと重大なことがあった。
それはもちろん誰にも言えないし言うつもりもない。
なんとなく、ランには会いずらかった。
「あ〜またこれ読んでる〜!」
ランが声を上げて
テーブルの上に勉強道具とともに広げられていた「生き物図鑑」をとった。
「悪ぃかよ。勉強の合間にこれ見てねーとやってられねーんだよ。」
実は場地は動物が好きすぎて、この生き物図鑑を見ては動物と戯れる妄想をすることがストレス発散方法の1つなのだ。
「つうかお前!
まさかまたあの激辛地獄のペヤング買ってきたんじゃねーだろーな?!」
ランがテーブルに置いたコンビニの袋を見て場地が険しい顔をする。
ランは猫を抱き上げながらハハハ!と笑った。
「まっさか〜!あれは期間限定だからもう終わってたよ!」
「はー。よかった。猫がひと舐めでもしちまったら大変なことになるからな。…つーかまだ売ってたら買ってくるつもりだったのかよ?!」
「あ〜この子の足、靴下履いてるみたいに足だけ黒いよ〜?こっちの子なんて豹柄の服着てるみたい。ハハハかっわいーなー!」
仲良く猫と戯れているランは
全く話を聞いていない。