第16章 rational
「けーすけぇぇ!!!いるのはわかってんだよー!!
開けろぉおお!!!」
ある日の放課後、場地の家のドアをドンドンと叩いて叫ぶラン。
ついに勢いよくドアが開き、
超不機嫌そうな場地の顔が見えたかと思えば
瞬時に腕を引かれて中へ入れられ、バタリと閉められた。
「てめぇっ!クソ近所迷惑なんだよ!!」
「だって何度ピンポンしても出てきてくんないし、メールも電話も返さないんだもん!!」
場地はハーとため息を吐きながら
部屋の奥に入っていく。
その後をランが追う。
「俺だって忙しいんだよ」
「でも1度くらいお見舞い来てほしかったよ…」
バッと振り向いた場地は眉間に皺を寄せ、なんとも言えない複雑そうな表情をしていた。
「お前…体はもう平気なのか…」
「うん!ぜんっぜん大丈夫!!
ねぇなんでお見舞い来てくれなかったの?」
とにかくものすごく久しぶりに場地の顔を見た気がする。
「だから忙しいからっつったろ。」
そう言って進んで行ったリビングには、
野良猫が2匹も入ってきていた。
実は場地は大の動物好きで
野良猫がいつでも入ってこれるように、いつも部屋の片側だけ窓を開けているのだ。
「わ〜かわいい〜
こないだは来てなかったのにね〜。
あ、もしかして最近この子たちで忙しかったとか?」
「ああ。そーそー。そのとーり。
だからお前に構ってる暇はないわけ。」
ぶっきらぼうにそう言いながら椅子に座る。