第15章 relent*
耳元でダイレクトに響くその苦しげな吐息だけで、子宮が疼くような妙な快感に変わっていく。
なんだか不思議な感じ…
痛いけど痛くない…。
こういう行為について初めて知った時、
物心ついたときから大大大嫌いな"男"という生き物と、そんなことをするなんて身の毛がよだつ…
死んでも嫌だ…
そんなふうに本気で思ってた。
だから私には一生経験することのない、
縁のない行為だと思ってた。
だけど……
「は…ぁ……隆ぃっ…」
この人なら…
この人にだけは……
体を明け渡しても…
体をどうされても…
体を重ねられても…
いい…って…
どうしてか、そう思ってしまっていた。
きっと、もうずっと長いこと、
心のどこかでそう思っていて、
そして願っていたんだと思う。
「た…かし…っ…んぁっ…」
今この瞬間、
私は"あの頃の私" ではなくなった。
男に敵対心剥き出しにして、
男を同じ人間とも認識してなくて、
男はみんな穢い生き物だと…
それでいて心のどこかで、
男に対して一番恐怖心を抱いていた、
この、"女" の私は…
今、ハッキリと、"女"になった。
"過去の自分を受け入れろ。
受け入れることで強くなる。
受け入れないままだと
どこかでその弱さに足元を掬われる。
生きづらくなるだけだ。"
"本当に大切なことは喧嘩に勝つことじゃねぇ。
自分に、負けないことだ。"
いつかの真一郎の言葉を
思い出して、胸が熱くなった。
私は今…ようやく……
女であることを、
受け入れている。
女であることを、
許している。
自分を……
許している。
ずっとずっと、男なんかよりも許せなかった
こんな、紛れもない "女" の私自身を…。
そう思ったら、涙が溢れてきて…
そして、止まらなくなった。