第15章 relent*
「そんなに褒めても、なんも出てこないからね〜」
「褒めてるんじゃなくて、本音言ってるだけだよ。
こんないい女、他にぜってーいねぇよ」
意外にも真面目に返答され目を見開く。
三ツ谷はスっとランの頬に触れ、髪を耳にかけた。
……あれ?
このシチュエーションって…
確かエマのバイブルにもあった気が…
ランは思考を巡らせるが、
正直今は鼓動の音がうるさくて
頭の中もぐらついていてそれどころではない。
「どんなワンピースがいい?」
「それは…隆デザイナーに全部おまかせするよ?」
「ふっ…わかった。じゃあこの赤いスカーフに合うようなのにするよ」
そう言ってシュルっと頭のスカーフを外された。
そのままストっとベッドに腰かける状態でキスをされたかと思えばゆっくりと押し倒された。
「んっ…は…」
角度を変えて何度も深い口付けを交わす。
覆い被さっている三ツ谷の体温と息遣いを感じながら、子宮がギュッと疼いた気がした。
「っ…は…ごめんな。なんもしねぇから。
ただキスしたかっただけ。」
唇が開放されたかと思えば、
優しく髪を撫でられ、目と鼻の先で微笑む三ツ谷。
ランは思い切ってその首に巻きついて引き寄せ、自分からキスをした。