第15章 relent*
「言っとくけど、このスケッチブックなんて、お前しか描かれてない、ラン専用のデザイン画。」
「えっ!」
三ツ谷の持っているスケッチブックを、目を見開いたまま見つめる。
「ちなみにもう2冊目だよ」
自嘲気味に笑う三ツ谷に驚愕する。
「ランに着せたいデザインならさ、昔っからいっくらでも思い浮かぶんだよな…」
そう言って目を細め、どこか夢想するかのようにスケッチブックを眺めている。
「み、見たいよ!見せて!」
「ダーメ。いつかちゃあんと見せてやっから。」
「えーケチー!少しくらいいいじゃ」
ムッとして言い返した瞬間、唇を塞がれていた。
「減らず口だな…少し食ってやるよ」
今にもまた触れそうな距離でペロリと舌なめずりをする三ツ谷がとんでもなく色っぽく見えて、鼓動がうるさくなり、目を逸らした。
「…隆の服にふさわしいモデルになれるように頑張るよ」
「それはこっちのセリフだよ。顔も綺麗でスタイルも良くて筋肉も男顔負けなくらい締まってて…
こんな良い女にふさわしい服が作れるデザイナーになれるよう努力するよ」
今までにないくらい嬉しい言葉を言われたと思って、ついニヤけてしまう。
お世辞だと思っても、素直に嬉しくもあり、照れくさくもあった。