第15章 relent*
「こーゆーのも、その漫画にはあった?」
「ない…です…」
「なら、よかった。」
フッと笑って三ツ谷の顔は離れていった。
何事も無かったかのように唐揚げを口に運んでいる。
…てかそれ…私にあーんするはずのやつ…
ま、いっか。
ランもお弁当を食べ出す。
「まだ、食い足りねぇな」
「っあ、まだまだあるよ?
ベーコンの野菜巻きとか、煮物とか、あと」
「ちげーよ。お前のことが。」
「…っ……え…」
もう!こういうのも漫画になかったよ?!
なんて返していいのかわかんない!!
全然役に立たないじゃんアレ!
エマのバカ!!
心の中でエマに理不尽な抗議をしながら
とりあえずランは火照った顔を隠すように麦茶を飲んだ。
「あのさ…隆…」
「んー?」
モグモグと口を動かしている三ツ谷をまっすぐ見つめる。
バイブルが役に立たないのなら、
自分で作るしかない。
自分だけの、私と彼だけのものを。
「どれが1番美味しいー?」
「うーん…どれも美味いからなー
でも強いていえば、これかなぁ…」
そう言って指さしたのは、
うずらの卵入りの肉団子だった。