第15章 relent*
「じゃあ、それ、私にあ〜んてしてよ」
「へ?」
「だって結局私はまだ、されてないよ?」
三ツ谷はハハッと笑って、そーいえばと言った。
「しょーがねーな。ほらよ」
「今度はちゃんと口に入れてよ?」
「わかってるよ。ほら、あ〜んは?」
「あ〜…」
今度はしっかりおかずを口に運んでくれた。
そしてそれを数度咀嚼して口内に含んだまま、突然三ツ谷に唇を重ねる。
ビクッと怯む彼の唇をこじ開けて、三ツ谷の口の中にそれを分け与えるように器用に押し込んだ。
ゆっくり口を離すと、
唖然としたように目を見開いている三ツ谷が視界に入る。
(やった!初めて逆の立場になった気分!)
ランは満足そうに頬を緩める。
「食べ足りなかったんでしょ?どお?」
三ツ谷はモグモグと咀嚼し飲み込んだ後、おずおずと口を開いた。
「お前ぇ……どこでこんな芸当を…
まさかこれもその漫画の悪知恵か?」
「ははは違うよ?私と隆だけのバイブルを作ろうと思って」
「は?バイブル?(意味わかんねー…)」
…心臓止まるかと思ったじゃねぇかよ。
「随分と大胆なことしてくれるな、ラン」
「美味しかったー?私は美味しかったよ」
くすくす笑うランに、三ツ谷はため息を吐いた。