第15章 relent*
「でも実は、俺もランの後ろに乗る方が好き。」
「えっ…なんで。」
「多分お前と同じ理由なんじゃね?」
「・・・」
そっか…
こうして好きなように密着して…
視界に入るから…。
あの頃の三ツ谷の気持ちはわからなかったが、
想いが通じ合った今は、
あの頃と同じこの状況がなんとなく恥ずかしくもあるが、あの頃の倍以上に嬉しくも感じる。
海辺に降りて、作ってきたお弁当を広げる。
「おーすっげー!
相変わらず天才だなランは。」
朝から頑張って作ったんだもん。
寝起きで不機嫌そうな万次郎にだいぶつまみ食いされちゃったけど。
「あ〜んてゆーのしたいな」
「な、何言い出すんだよいきなりっ」
「だってそれってこういうシチュエーションの王道なんじゃないの?」
「…知らねぇよ…どこで習ったんだよそんなの」
「エマの持ってる少女漫画だよ!」
ランは正直、
漫画もドラマも全く興味が無いのだが
無理やりエマから渡されたエマの言う"バイブル"という名の少女漫画を仕方なく読んでるうちに、あまりの小っ恥ずかしいシーンばかりを目にしてしまい、もう限界とばかりにエマに返却しようとした。
しかし…
結局返却せずに繰り返し何度も読んでしまったため、あらゆるシーンが脳裏に焼き付いて離れていない。
本当は、こんなことやあんなこと
私も女としてしてみたい…なんて思っていたんだということを、三ツ谷といると実感してしまう。