第4章 receive
「だからたまに…心配になるときもあるんだ。
強いからって、強がることだけはすんなよ。」
「………。」
その言葉に、ランは何も言えなくなってしまった。
三ツ谷の優しさだけをただただ身に染みて感じた。
「お前の夢はなんだ?ラン。」
「え?夢?」
そこで初めてランは、自分には夢などというものを考えたことが1度もないのだということを痛感した。
ただ強くなることばかり考え、ひたすら己を鍛え上げて突っ走ってきた。
「夢……ないかも…。」
でも、いくつになってもみんなと一緒にいたいとは思う。
願わくば、隣に三ツ谷くんがいれば…なんて。
「なーんだ。ねーのかよ。じゃあ俺が作ってやる」
「え?」
「お前さ、将来はモデルになれ。」
意味がわからなくて口を開けたまま固まる。
三ツ谷はニッと笑って続けた。
「んで俺の立ち上げたブランドの服を着るんだ。そして俺もお前も有名になっていく。どうだ?いい夢だろ。」
ランは少し顔を赤らめて笑った。
「うん。いいよ!」
「じゃー決まりっ!生きるのが楽しくなってきただろ?」
その言葉に、ドクンと鼓動が跳ねた。
そうだ…私は…
人生を楽しもうとなんてしてなかった…
せっかく生きているのに……
「うん…。ありがとう!三ツ谷くん。
大好き!」
「ははっ!俺も大好きだ!」
「・・・」
いつもこうして流される…。
それでもランは
いろんなことに、いろんな感情に、気付かせてくれる三ツ谷にますます惹かれていた。