第4章 receive
「これで髪を結ってもいいかな…」
ずっと、肌身離さず身につけていたいと思った。
「おう、いいんじゃないか?
もうお前のもんだから、自由に使えよ」
ランは髪を高い位置でポニーテールにし、スカーフをリボン結びした。
フワッとたなびくそのスカーフは強い風が吹いても決して髪を乱すことがなくそこにキツく留まる、まるで彼女自身の象徴のように見えて三ツ谷は目を細めた。
「似合ってんじゃん。」
「ふふっ…嬉しい…ありがとう。」
少し目頭が熱くなってしまった。
初めて、男という異性にプレゼントを貰った。
しかも、好きな人にだ。
それがこんなに嬉しいことだとは思ってもみなかった。
「ランはさ、立派だよ」
突然、ポツリと言ったその言葉に首を傾げる。
「もうそれ以上強くなんなくてもって思うくらい、お前は強いし。きっとめちゃめちゃ努力してきたんだろうな。…女だから…って言いたいわけじゃねぇよ?」
「……うん。そうだよ。私は女だから、人一倍努力してきたんだよ。別に天才なんかじゃないの」
ランの強さを天性のものだと言う者たちも多い。
それほど、その強さは女とは思えないものだからだ。
もしかしたら、佐野家の祖父と親友でもありライバルでもあった柔道の天才ランの祖父の血も少しは影響しているかもしれないが…
しかし、ランは誰よりも強い精神力で、人一倍努力し頑張ってきた。
それは彼女自身が一番よくわかっている。