第15章 relent*
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未来では、東マンの抗争自体が起きてはおらず、橘日向は生きていた。
ヒナに会える!
でも、12年前の男の顔なんて覚えてるわけない。
そう直人には告げて、日向に会うことを拒んだ。
何やってんだ俺…
あんなに頑張ったのにまた逃げて。
なんにも変わってねーじゃん。
26歳フリーターのままじゃん。
「…現代を変えたのに、なんで俺だけなんも変わってねぇんだよ…」
タイムリープしてわかった。
結局俺は、根がダメなんだ。
帰ろう。元の生活に戻ろう。
そう思って日向の家から遠ざかり
エレベーターに乗ろうとした瞬間、
あれ?
幻覚?
…違う……!!
「……タケミチくん?」
その瞬間、
日向と過ごした12年前の想い出の数々が蘇ってきてみるみる涙が零れた。
目の前に今、君がいる。
あの頃と変わらない目をした
君がいる。
「タケミチくんは、いつも急に来るね」
あの時あげた
クローバーのネックレスをしている
君がいた。