第15章 relent*
「でも…2人とも本当にありがとう…
さっき2人があんなふうに言って頭を下げてくれて…私すごく嬉しかった…必要とされてるんだって思えて…」
突然静かな声になり、潤んだ瞳が伏せられる。
「今更何言ってんだよラン!
お前があってこその東マンだぜー?」
「あぁ。そのとーりだ。それになにより、
マイキーにはお前が1番必要なんだからな。
さっきそう本人が言ってたろ?」
"ランにはそばにいてほしい。
チームにとってと言うより…俺にとってランは必要なんだ。だから爺さん… ランを連れてかないでよ…"
先程の言葉を思い出したのか、万次郎は少々不貞腐れたように、赤らんだ顔をフイと逸らした。
「うん…いるよ。
ずっと私は、万次郎のそばにもみんなのそばにも…
だってここが私の唯一の居場所だもん。
私が、私らしくいられる場所。」
そう言って嬉しそうに目を細めて指輪を撫でるランに、万次郎もドラケンもホッとしたように息を吐いた。
出会ったばかりのあのころの
生きづらそうなランの面影は
もうどこにも無かった。