第15章 relent*
3人きりになった病室で、
ドン引き顔のドラケンが声を出す。
「153勝152負517引き分けって…
どーなっちゃってんだよあの爺さんたち…」
(あの人たちも昔は不良だったんじゃね?)
「まぁ二人も幼なじみらしいからねー。
私と万次郎も、63勝64負78引き分けだよね?」
「そーそー。俺が1歩リード中〜♪」
「げっ…マジかよ…
お前らも爺さん婆さんなってもあんな感じで死ぬまで勝負し続けんのかな」
「うん。ランがずっとそばに居てくれんならね」
万次郎の言葉に、少しの沈黙が流れた。
「ホントによかったのか?ラン」
ドラケンが小さく問いかけてくる。
ランはにっこり笑って頷いた。
「今の私の幸せは、みんなといる事だもん。
この先も、これからも、ずっとみんなといたい。」
(それに昔から、万次郎とずっと一緒にいるって約束してるし)
「だから2人も、私と一緒にいてね。ずっと…」
「はっ、当たり前だろ。
でも傷一つ付けたらきっとあの爺さんに今度こそ攫われてっちゃいそうだから、お前のこと死ぬ気で守ってやんねぇとな」
万次郎の言葉に眉を吊り上げる。
「守ってもらわなくても大丈夫だし!
逆に私が皆を守る存在なんだから!」
力強く真剣なその言葉に、
万次郎もドラケンも心底安心したように肩の力を抜いて笑った。