第15章 relent*
静寂を破って頭を下げたのは万次郎だった。
「危険なのは分かってる。
今回のことだって、俺の責任だ。
ごめんなさい…」
「違うよ!万次郎のせいじゃない!」
「でも俺は… ランにはそばにいてほしい。
チームにとってと言うより…俺にとってランは必要なんだ。だから爺さん… ランを連れてかないでよ…」
頭を下げ続ける万次郎の隣で、ドラケンはしばらく何か考え込んでいたが、意を決したように頭を下げた。
「ランのことは、俺らが守ります。
絶対に今後、傷一つ付けませんから…」
ランの祖父は顔を険しくして黙りこくっている。
その様子を見ていた万次郎の祖父も口を開いた。
「ワシからもお願いじゃよ。
もう少し、ランをこっちに預けてくれんか。
なんならもう金も要らんよ。」
「…は?何言って」
「まだこんなガキなのに、こうしてきちんと下げる頭も人を想う心も持っとるんだ。
そこらのただの不良ではないとワシは信じてる。こういう世界で生きてこそ知れることも多い。
普通じゃ経験できない想い出や苦味をかみ締めて、こやつらは大人になっていくんだ。
きっとどの世界の人間より、強い大人にな…。」
その言葉に、暫し沈思してから
ランの祖父はランに向き直った。
「… ラン、お前が決めなさい。
お前はどうしたい。」