第12章 reconcile
「へぇ…いい度胸じゃん…」
カッと目を見開いた万次郎に、三ツ谷がゴクッと生唾を飲み込んで急いでルナを引き寄せようとした瞬間、万次郎が射的でとった景品の菓子袋を懐から取り出して突き出した。
「ご褒美あげちゃうぞ♡」
「え」
「わぁあい!!」
単純女児のルナはお菓子の山に目を輝かせてそれを受け取り、部屋の奥へと引っ込んでいってしまった。
ポカンと口を開けている三ツ谷に、万次郎はフッと笑った。
「お前は… ランのことをどう思ってる?」
「……どうって…
そういうお前はどう思ってんだよ…」
「質問を質問で返すなよ三ツ谷。
それによって返答変えよぉとしてんの?」
「………。」
「俺は好きだよ。ずぅっと俺だけの女でいてくれることを望んでる。」
「…だったらそう伝えたらどうだ?」
「伝えたよ?何度も、何度もな。」
「・・・」
「でも残念なことに、まーったく通じねぇんだよ。
ハハッ。三ツ谷がいなかったら、どうだったかな…
なんて考える時もたまにあるんだぜ」
沈黙が流れた。
雨音が強くなっている。
「…あっそぉ。じゃあマイキー、
俺とタイマンしに来たわけか?」
ピクリと万次郎の眉が動く。
万次郎の前髪から滴り落ちている雫で
どこか妖艶な瞳に真剣な眼差しが光っていた。
三ツ谷は眉間に皺を寄せ、ゴクリと生唾を飲み
次の言葉を待つ間に体に力を巡らせた。