第12章 reconcile
ランと万次郎は雨が大ぶりになる前にすぐに家に帰った。
しかし、万次郎はなぜか用事があると言ってまた出ていってしまった。
ランは部屋で指輪を眺めながらクスッと笑う。
「万次郎のくせに、私を慰めようとしてくれたのかな…ハハッ。まんまと機嫌直されちゃってるし私。」
自分にとって、万次郎の存在はかなり大きいなぁ…と改めて思った。
別に三ツ谷くんに振り向いてもらえなくったって…
万次郎がいつも隣にいてくれる。
それだけで充分私は幸せ者じゃん…。
そもそも、心を誰かに支配されるということは難しくて簡単なことじゃない。
コントロールがきかない想い。
隠しても隠せない想いに怖さを感じることのほうが多い。
恋と愛は違う。
私はまだ愛という感情を知らないけれど、
恋をして学べるのなら、私はたくさん恋をして
たった一人だけを愛する力を手に入れたい。
いろいろと綺麗ごとを考えてしまってるだけかもしれない。
でも心にはずっと君がいる。
変わらない気持ちのまま動けずにいる。
片思いって、一番胸が高鳴る時なんだと思う。
ちょっとしたことで喜んだり、悲しんだり、怒ったり、自分を誤摩化さず正直でいれる時間。
恋を最高に楽しめる貴重なこの時間を大切にしよう。
「そういえば、堅とエマはうまくやってるかなぁ…
タケミチとヒナちゃんも…」
みんなの恋は、上手くいくといいなぁ…
私の分まで。
♪トゥルルルルル
「…ん……?」
少し眠ってしまっていたようだ。
目を閉じたまま手探りで携帯を引き寄せ、耳に当てる。
「はー…もしもしー」
« ランさん?!»
「ふわぁあ〜…なに?どした?」
1人の隊員からだった。
また何か相談だろうか?と思いながらあくびをする。
«ドラケンくんが狙われてます…
ペーやんくんを筆頭にあのことでまだ納得してない連中がいて…»
ランの目が徐々に開いていく。
「なに…それ…」