第12章 reconcile
「あーあ。やっちった…ごめん♡」
そう万次郎はニッコリ笑ったが、
はっきり言ってなにがなんだかわからなくて唖然とする。
さっきからコロコロ変わる態度も意味がわからない。
「も…っ…そっそんな仕返ししなくてよくない?
なんか痛かったよ今?犬かよ!」
「くくっ…」
花火のけたたましい音とともに光る明かりで、ランの首筋の卍に小さな痣が残ったのが目に映った。
俺にしては…耐えた方だろ。
本当はこんなことじゃなくって、
したかったのは……
「あ…なんか雨降ってきたよ……」
ランの言葉で気がついた。
ポツポツと冷たい雫が顔や手にかかってきた。
「帰るぞラン!」
「うん!」
伸ばした手に、ランの手指が絡む。
1個だけわかったよラン。
お前って、俺のこと、
仲のいい大好きな "きょうだい" としか思ってねぇんだってこと。
でも、それならそれでいいよ。
それならそれの…
それでしか感じれない幸せが
俺にもお前にもある。
そう、こんなふうに…。
俺と、ランだけの
他の誰も入る隙のない
こんな幸せ。
全てが嫌になっても、たった一人、
好きな奴がいるだけで心は救われる。
一番俺の綺麗な場所にいてくれるから。
気づいてないかもしれないけれど、
お前は俺をいつも救ってくれてる。
それだけは確かだから。
万次郎は寂しさとも嬉しさともとれる感情を噛み締めながら、グッと握る手に力を込めた。