第12章 reconcile
「っ!…わ!なにすんの!?」
「ついてたんだよ、飴が。
んー、あま♡」
「びっくりしたなぁもう…!」
ケラケラ笑いながら離れていく万次郎に
ムッと頬を膨らめる。
りんご飴の甘い香りが
2人の鼻をくすぐった。
「そうだな…でも…1番辛ぇのは…
好きでもねぇ奴にキスされることだよな…」
好きじゃねぇってほざく奴にキスされることよりも…。
そもそもされた側が好きならば
そんなこと言ってされたキスでも
嫌じゃねぇのかも…。
花火の音でかき消される誰にも聞こえない呟きは、ただの自嘲的な独り言みたいになって、万次郎はため息を吐いて1人で吹き出した。
すると突然ランに
グッと顎を掴まれ、顔の向きを変えられたかと思えば、ペロッと頬を舐められた。
呆気に取られて口を半開きにしたまま固まっていると、徐々に離れていくランのイタズラっぽい笑みが視界に入る。
「くくっ…お返し!」
「…… ラン」
その瞬間、万次郎はランの額にコツリと額をつけ、睨むようにカッと目を見開いて凝視した。
「俺にこんなことして、いい度胸じゃん。
どうされてぇの?」
「…は?」
「あー…理性ぶっ飛ぶよ。お前のせいで…」
「いっ…っあ!ちょっ!何してっ」
カプっと首に噛み付かれていた。
チリッと痛みが走って顔を歪める。
万次郎の顔はすぐに離れていた。