第12章 reconcile
「これやるよ、タケミっち。」
「え?!いいんすか?!わぁぁあ〜っ」
万次郎から特賞のプレステを渡され、
タケミチは目を輝かせる。
「うん。だってうちに2台もいらないしね。」
「あざっす!!!一生大事にしやすっ!!」
「ヒナちゃんにはこれあげるね」
ランはクマのぬいぐるみを日向に渡した。
「わぁ…嬉しいです!ありがとうございます!」
万次郎は自分の景品のデカい菓子セットを満足気に眺めてから、他の獲得商品も2人にあげてしまった。
「俺はこれだけあればいーやー♡」
「やっぱお子ちゃまかよ」
ランは呆れたようにため息を吐いた。
「でも、これだけじゃないよ。」
万次郎はそう言って小さな箱をポケットから取り出した。
「ん?それもさっきの景品?」
「うん。これはお前にやる。」
その箱を開けると、なんと透明の石が埋め込まれた指輪が入っていた。
箱の隅にはムーンストーンと書いてある。
そして、石言葉も書いてあった。
"幸福、恋の予感、純粋な愛"
「手、出して。」
「あ…うん…」
ランが右手を出すと、その薬指に指輪を嵌め込んだ。
「おー!ピッタリじゃん」
「うん!綺麗……ありがとう万次郎。」
「どーいたしましてー」
指輪の嵌った手を夜空に翳すと、月光に照らされたムーンストーンがキラキラと輝いた。
初めて指輪なんて嵌めた…
ランは気恥しさと嬉しさで胸がいっぱいになった。