第12章 reconcile
「三ツ谷くんてさぁ、なんかよくわかんないよねいつも。フフっ。あーでも私が馬鹿なのかなぁ。
結局、勝手に片思いして勝手にいろいろ期待しちゃってただけなんだよね、きっと。
でもさぁ…そんなことされてからそんなこと言われたらさ、いくら私だって…っ…」
これ以上何かを喋ったら、あらゆる感情がとめどなく溢れ出てきそうで、口を噤んで目を閉じた。
暗いまぶたの裏側には、まだあの人の笑顔があった。
「ラン」
しばらくしてから
静かに呼ぶ万次郎の声。
「やっぱ祭り行こう」
「っえ!?ちょちょっと…?!」
なぜそうなるのかよく分からないが、
ずんずんと腕を引っ張られ、万次郎のバブの後ろに乗せられた。
結局あれよあれよと連れてこられ、
一緒に祭り通りを歩く。
「チョコバナナどこ〜」
「私りんご飴がいーっ」
相変わらず甘いもの好きな万次郎とランは、なんだかんだはしゃいでいた。
まるで小さい子になった気分だった。
1番リラックスできてありのままの自分でいられるのって、結局は万次郎の隣だけかもしれないとランは思った。