第12章 reconcile
着ようと思っていた浴衣はクロゼットに閉まったままだ。
お祭り…
小学生の頃は毎年、万次郎と真一郎とエマと行っていた。
その頃に着付けを習ったのだ。
中学になってからはいつものメンバーで行っていた。
中学最後の夏くらい好きな人と二人で行きたいと思っていたけど、叶わなかったな。
高校生になったら、彼氏ができて、夏祭りデートとかできるかな?
いや…無理だよな…
そもそも私って暴走族グループの幹部だし、そんな女と付き合ってくれる人なんているわけ…
てかその前に、私がおいそれと男を好きになるわけが無い。
だいたい私は…
ガチャ
「ラン〜♪いる〜?いた♪」
突然万次郎が入ってきた。
「っ!びっくりしたー…またノックなしで!!
相変わらずデリカシーなさすぎ!!」
「あれ〜?祭り行かねーの?」
「…ふんっ、行かないよ」
ふいと顔を背けて友達に取っておいてもらった授業のノートを机に広げてペンを握る。
「まさか祭りより勉強?!ウケる!」
「うるせぇよ。邪魔すんな、出てけ。」
「えー。一緒に行こーよ♪祭り♪」
「無理。」
「・・・」
即答するランに眉を顰める。
カリカリとペンの音だけが部屋に響いた。