第12章 reconcile
「お前さ…三ツ谷となんかあったんだろ」
ビクッと一瞬目を見開き、ペンが止まったが、
何事も無かったかのようにまた動かす。
「ぜってーなんかあったな。
最近のお前、マジおかしいし」
「…だったら?
万次郎には関係のないことじゃん」
「関係大アリなんだよ。何があったか言え。」
「はあ?!なんであんたに言わなきゃなんないの?!」
ついにペンを止めて万次郎の方を向く。
万次郎はため息を吐きながら勝手にベッドに横になった。
「昔さ…覚えてるか?」
「あ?」
「兄貴が死んだ時…お前、俺にさ、
溜め込むなって言ったんだぜ。」
その言葉にハッと目を見開く。
"…何があっても万次郎の味方だからっ…
ずっと…いなくなんないから…っ…
だから私の前ではさ、ありのままの万次郎でいて…
お願いだから、溜め込まないで、
心の内を吐き出して…なんでもいいの…"
「俺は…あの言葉に… ランに…
救われたんだぞ…」
「・・・」
ペンを持つ手が震える。
また癖でグッと唇を噛み締めてしまった。
そしてそのときにキスをされたことを思い出してしまい、咄嗟に噛み締めるのをやめた。
代わりにグシャリとノートを握った。