第11章 radiant
「…そりゃあ…家族が1番大事なのは
誰だって一緒だろうけど…」
ランが小さく言うと、
八戒も柚葉も暗い顔をしだした。
「そうかな…」
「…え?」
ランは目を瞬かせて
2人を交互に見つめる。
「家族を1番大事にできる人なんて
実はそういないと思うけど」
「…家族……ね……」
「?」
沈黙が流れる。
疑問符を浮かべていると、柚葉がハッと我に返ったようにまた険しい顔に戻った。
「いやいやそれとこれとは話は別でしょうよ八戒!
女と家族は別モンだろ!」
「でもタカちゃんは妹溺愛してるし」
「シスコンかよっ!」
「シスコンだよタカちゃんは!」
「あぁーっ2人ともゴメン!
もういいからさ!
振られたんだから頑張って諦めるよ。」
「「諦めちゃダメだろ!!」」
2人の声が重なり、
4つの真剣な眼差しが突き刺さった。
「……え……でも……」
「好きって気持ちは大切にしないと!
自分に嘘をつくな!!
しかも絶対両想いなんだし!
アタシが言うんだから間違いないよ!!」
「しゃーねぇから俺の待ち受け、
ランにも送ってやるよ!
願掛けだ!!」
「い、いいよ!別に!!」
八戒はいつも三ツ谷を待ち受けにしているほど
三ツ谷愛が凄まじい。
とくに何も解決はしなかったが、
ランは2人のおかげでどことなく元気が出ていた。
「あのね、ラン…
もしも叶わぬ恋でもね、
一方的な想いは罪じゃないよ。」
"一方的な想いは罪じゃない"
柚葉のその言葉は、とても大きく心に響いた。
自分の気持ちに嘘をつかず、
諦めないで想い続けていたら、
なにか変わるのかな…