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progress ~東リべ卍~R18~

第11章 radiant




「万次郎…」


しばらくしてから聞こえた静かな呼び掛けに、万次郎は目を開けて横を見る。


「おいで…」


ランが手を広げて
優しげな笑みを浮かべていた。


万次郎は無の表情のまま、
ゆっくりとランに覆い被さるようにして抱きついた。

ギュッと互いの背中に腕が回る。

ふわっと温かい空気に包まれて、
真一郎が死んだあの時の抱擁を思い出した。



「私が助けるよ、万次郎。
その暗闇から、私が万次郎の手を引っ張って、
必ず上に引き戻すよ。
何度も…。何度でも…。」


「…でも怖いんだ。
そのまま俺が…そうやって伸ばされた誰かの手を…
引きづりこんじゃう気がして…」


「私なら大丈夫。
それに…万次郎が落ちてくなら、
私も一緒にそこに落ちてく…
でもそんなことには絶対させない。
万次郎のことは、私がいつだって引っ張り上げるから」


「っ、簡単に言うなよ」


「簡単になんか言ってない。
約束したじゃん。」



"挫けそうな時、俺が俺でなくなりそうな時…
俺を叱ってくれ、ラン…
兄貴のように…。"



「私の黒い衝動だって、
万次郎がいるから抑えられてるの。
だから、お互い様だよ?」


「… ラン」


俺やっぱ、お前がいなきゃダメみたい。
絶対に…。
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