第10章 return
「…ん?」
卍の記号が描かれている。
その近くに、明らかにルナマナが真似して描いたような歪な卍がいくつもあった。
それと同じように、ABCやあいうえおなども描かれている。
つい、フッと頬を緩めた。
ランが教えたんだな。
その他にも、なんともいえない歪な人形のような絵が描かれていたりする。
「くくくっ… ランの絵おもしろ…」
しかし、なんとも憎めない、
愛らしい絵だと思った。
「これ、のび太くんとシズカちゃんだって」
「え!そうなの?!」
そうらしい絵をジッと見つめる。
言われてみれば…
まぁそう見えなくも…ないか…。
確か……
「…のび太くんとシズカちゃんは将来…」
「けっこんするんだよね!!」
「っ…そーだったよな。」
苦笑いしながらもよくよく見ると、
どら焼きのような絵まで描かれている。
しかも、恐らくドラえもんとドラミちゃんであろうおかしな丸っこいキャラクターも描かれていてつい笑ってしまった。
「ははははは、キモすぎだよこれ」
思えばランの絵をこうして見たことはなかった気がする。
いやなかっただろう。
こんなに衝撃的な絵の数々、見てたらきっと忘れてない。
絵心はあると思うが、なんだかいろんな意味でヤバい。
なんというか…誰にも真似できないような感じ…
もしかしたら一生忘れられないような絵まで目に入ってしまうかもしれない。
そう思いながら、恐る恐る次のページも揉めくってみた。