第10章 return
「おにーちゃーん」
「・・・」カキカキ…
「全部色塗り終わっちゃったー!」
「・・・」カキカキ…
「「おにーちゃんてば!!!」」
「っ!あ…ごめん、なに?」
「王子様まだ描いてくれてないよ!!」
その言葉に、
あー、そういえばさっきお姫様と王子さまっつー注文だったか…と思い出す。
三ツ谷は鉛筆をクルクルと回しながら頬杖をついて、ルナマナの渡してきたお絵描き帳の白い紙を見つめた。
「…王子様……タキシード…?」
やっぱり、着せたい対象を思い浮かべないと
デザインが浮かばない。
ランの隣にいる男…
どんな奴だろう?
……くそ、わかんねぇぞ…
ていうより…
なんか想像したくない。
「…ごめん、ルナ、マナ。
王子様はまた今度な。」
えー!!と2人は心底不服そうな顔をした。
ごめんごめんと笑いながら、
パラパラとルナマナのお絵描き帳を捲る。
すると、あるページでふと手を止めた。