第10章 return
「ランちゃん、どれも可愛いなぁ…」
「着たとこ見たいなぁ…本物のラン姫。」
ルナマナは、おとぎ話のプリンセスに憧れるようなキラキラした眼差しで眺めている。
「俺も…見てぇな…
全部着させてぇ。」
まだまだお前に着させたいもんなら
いくらでも思い浮かぶよ。
あっ!!そーだ!!
三ツ谷は新しいスケッチブックを取り出した。
思いつくたびに
ここに描き溜めていこう。
嫌われちまったと思うから、もうランを俺のモデルにするって夢、叶わないかもだけど、
それでも…頭の中に、溢れて溢れて止まらねぇんだ。
だから…このスケッチブックは俺だけの秘密。
お前のいろんな姿、
妄想することくらいは許してくれよ。
三ツ谷はまたスラスラとそこへ
描きこんでいった。
カラーは…そうだな。
こいつらに任せてもいいかもな。
なかなかいいセンスしてるし。
三ツ谷はいつの間にか、
凄まじい集中力で呼吸も忘れているかのように没頭していた。