第10章 return
三ツ谷は、意外にも綺麗に色塗りをしていくルナマナたちに微笑む。
あー、我ながらどれも良いなぁ。
ぜってー似合う!!
「どーだ?かなりイイ感じのお姫様だろ!?」
そう言って得意げに笑うと、
ルナマナは色塗りをしながら無機質な声を出した。
「でもどれもシンデレラじゃないね。」
「白雪姫でもない。」
「・・・」
「全部、ランちゃんだね。」
「!!!」
その発言でようやく三ツ谷は気が付いた。
俺……いつのまにランを描いてたんだ。
これが似合うあれが似合う
こうしようああしようって…
明らかにランを想像しながら
描いてた…
三ツ谷はそんな自分に呆れたように笑った。
「不思議と、あいつに着せたい服のイメージはいくらでも湧くんだ。…きっと、どれも似合うだろうな…。」
いつか、こんなウェディングドレスを着たランを、俺が客観的に見つめている未来が来るんだろうか?
隣にいる王子様は…
誰なんだろうな。
ぜってー幸せにしてくれる奴じゃねーと
きっと俺、そいつ半殺しにするな。
「ルナはランちゃんにはこれが一番と思う!」
「えー!マナはこれだと思うー!!絶対!!」
そんなふうに言い合っているルナマナに笑みを零す。