第10章 return
「うーん…デコルテ部分と袖はこんな感じかな…
いや、でも…ここはレースにしたほうがいいか…
素材は……そうだな、やっぱ……」
ブツブツと何かを呟きながら描き進めていく絵を、ルナマナは目を丸くして凝視している。
うーん…
足が綺麗だから、Aラインとかエンパイアラインよりマーメイドラインのドレスのがいいか?
いや…でもスタイル良いからベルラインもいいよな…
いっそチャイナドレスみたいに太腿のこの辺りまでザッと切って…
や…さすがにやりすぎか…
怒られるかな…
「んんんー、待てよ。
これもいいな。プリンセスラインにこの部分をフリルにして…いや、違うな、やっぱあいつはスレンダーラインのドレスに裾をフワッと大量のエレガンスフラワーで長くして…」
あーでも…
やっぱマーメイドドレスも捨てがたい!!
んで、ざっくり背中を出す感じで
こう……
「あー、うんそうだな…。
いっそこっちにもコレ付け加えたらいいかも…
で、ウエスト絞ってここらあたりをもっとこう…」
三ツ谷はいつの間にか、真剣に何枚も何枚もいろいろなドレスの"お姫様"を描いていた。
「このドレスなら、髪型はこんな感じ…
メイクは…まぁそれは本人に任せるべきだよな。」
出来上がっていく精巧なお姫様の絵に、
ルナマナは目を輝かせて次から次へと色鉛筆で色塗りを始めた。