第10章 return
「おにーちゃん、ランちゃんはー?」
「…あー、用事があるからもう帰ったよ」
「えー!まだ全然遊んでないィィー!!」
「さんざん本読んでもらってただろ」
「お絵描きしてないもん〜!!」
「お絵描きお絵描きィィ〜!!」
口々に駄々をこねるようにテーブルを叩く2人に三ツ谷は苦笑いする。
「わかったわかった。兄ちゃんが描いてやるよ。
何描いてほしいんだー?」
「「お姫様と王子様〜!!」」
「え?!」
「シンデレラがいい!」
「白雪姫〜!!」
「え?!」
さすがに三ツ谷にとって、それは難易度が高い…わけではないが今はいろんな意味で疲れているしめんどくさいし、シンデレラも白雪姫もどんなだったか思い出せない。
「いつもみてぇにアニメのキャラクターとかじゃダメなのか?ドラえもんとかアンパンマンとか。」
「「ダメ!!!」」
「・・・」
しゃぁねーな…
と言いながらも、三ツ谷は自分の中の"お姫様"のイメージを書いていく。
服のデザインは普段からさんざんスケッチブックに描いているから、鉛筆はするすると進んだ。
いつもはルナマナのお絵描きにはクレヨンや色鉛筆でテキトーな感じで雑に描くのだが、なんとなく、精巧なデザイン画を描き進めてしまっていた。