第10章 return
"……三ツ谷くんの"大好き"はさ…
どういう意味なの?
三ツ谷くん、ずっと前から
私の気持ちに気付いてるでしょ?"
あぁ…
気のせいって自分に言い聞かせてたけど
気付いてたよ。
だってさすがに昔からあんなあからさまに
周りと態度も言動も違くされてたらさ…
そもそも呼び方だって違うし…
でも心のどこかで、
多分何も言ってはこないだろうって思ってたんだ。
一時の気の迷いみてぇな…
ちょっと優しくされたからって
好きになっちゃったと錯覚するような…
そんな感じだと思ってたんだ。
それに、きっとまたすぐ誰か別に好きになる奴がいんだろーなって。
でも、どれも違ったんだな。
で、同時に気がついたことがある。
俺も、どれも違ったんだなってこと。
好きな奴に好きじゃないと伝えることが
こんなに苦しいことだなんて初めて知った。
だけど……
俺だってどーしていいか分かんなかったんだよ。
だって俺になんか構わせてられねぇだろ。
ランは俺のものじゃねぇ。
東マンのもんなんだから。
これからもずっと。