第10章 return
三ツ谷は家に帰ってからたちまち顔を青くする。
「おおおおい!!
ルナ!マナ!ダメだ触っちゃ!!」
テーブルの上にそのままにしていたミサンガやら裁縫道具やらが妹達にいじられて散乱していた。
作業をする前に、ランが絵本を読んで寝かしつけてくれたのに、いつの間にか起きていたようだ。
慌てて駆けつけ片付けていく三ツ谷を
ルナマナは目を丸くして見つめている。
「ああ…ごめんな。大きな声出して。」
急いで笑顔を作って宥めると、
2人ともムッとしたようにまたミサンガを弄りだした。
「あー…ま、いいや。
それはお前らにやるよ。」
2人の頭をポンポンと撫でてからため息を吐いた。
残りはあとちょっとだし。
俺が作るか…。
"俺は…お前のこと、
"仲間として" 大切だってことだ…
それ以上でも以下でもない"
そう言った時のランの酷く傷ついた顔を思い出して眉をひそめた。
"いいよもう私に優しくしなくて"
「…ごめん。」
ミサンガを弄りながらそう呟く。
もうランは口聞いてくんないかもな。
目すら合わせてくれないかも。
まさか直球にあんなこと聞かれるとは思ってなかった。
だから言葉を用意してなかった俺が悪い。