第10章 return
その日のランは、三ツ谷の家で料理をしたり、裁縫を教えてもらったりしていた。
実はランは、東マン全員分のミサンガを作ることにしたのだ。
なんとなく、目に見える絆のようなものが欲しかったから。
三ツ谷も手伝ってくれるというから大助かりだ。
さすがに100個以上を1人で作るのは無理そう。
しかも三ツ谷が教えてくれる作り方はなかなか難易度が高いものなのだ。
まぁそれはそれで嬉しいのだが。
こないだのキスの一件以降、なんとなく気まずいが、気まずいのはランだけかもしれないというくらい三ツ谷は何事も無かったかのように普段通り…
もしかして…覚えてない…とか?
いやいや三ツ谷君はそんなにチャラくない!
と思いつつもどことなく寂しく感じる。
「三ツ谷君、あのさ…」
聞いてしまってもいいだろうか?
私のこと、どう思っているのか?
「ん?なんだ?」
ランは意を決して生唾を飲み込んだ。
「わ、わたし…」
「…ん?」
三ツ谷が手元から顔を上げ、目が合った。
その瞬間、ドキリと鼓動が跳ねて逃げ出したくなってしまった。
けど、ここまで来たら後には引けない。