第10章 return
「ようし、千冬。食え。」
「えー!また俺っすか?!」
ぶつくさ言いながらも千冬は一口それを食べ、そしてまた険しい顔をした。
「ほとんど変わってねーっすよ…」
場地もランも味見をし、やはり眉間に皺を寄せた。
「・・・」
「・・・」
「・・・」
妙な沈黙が流れたあと、千冬が2人を見つめてから長いため息を吐いた。
「もーいいっすよ。俺が全部食いますよ。
お二人のために。」
「いやいやいやいくらなんでもそれは!
あっ!いーこと思いついた!
じゃーさ!もう一個普通の方のペヤングあるんだからそれと混ぜれば少しはマイルドになるんじゃない?!」
「はあ?!それじゃ普通のやつが勿体ねーだろ!
つかぜってえ変わんねぇよ!バカが!」
場地の言葉は無視されていて、もう既にお湯を注いでいた。
「ねぇ圭介〜。あとさー、またいいこと思いついたんだけど、とろけるチーズある?それから、あー、オリーブオイル!」
「はあ?!…ったく…ちょっと待ってろ…」
冷蔵庫からとろけるチーズを取りだし、棚からオリーブオイルを取って渡す。
「おっ!さっすが圭介のママ♡
じゃー待っててね〜!私のクッキングタイムだから♡」
鼻歌を歌いながら料理?をするさまを、
場地はため息を吐きながらも、どこか優しげな目で見守っている。
そんな場地の気持ちを理解している千冬は微笑ましい2人の光景を客観的に見つめながらフッと笑みを零した。