第10章 return
一緒に店を出ると、黒龍隊員たちが一斉に大寿に頭を下げた。
「「お疲れ様です!!!!」」
ランは内心、
(うるさいな…こんな店前で大声出すなよ…)
と思いながらも、大寿に向き直る。
「あ…のさ…」
「あ?」
「その…ありがとう…」
ぎこちなく礼を述べると、大寿はまた大笑いしだした。
「こいつぁ傑作だ!!
こんなことでこいつに礼を言われちまうとは!!
おい"ココ"!!今の聞いたかー?!」
「は……一体何が。」
九井は目を瞬かせながら口を開いたかと思えば、察したように目を細めた。
「あー…なるほど?
女らしく男に奢ってもらった、と…。」
「ちっちがっ!!
これはあんたらのボスが勝手に!」
「じゃあな月乃!!!
てめぇ以外の東マンここらへ入れんなよ!!
殺すからな!!!」
大寿はそれだけ大声で言い残し、
隊員たちを引き連れ颯爽と去っていってしまった。
おそらくあの豪邸の芝家で会議かなんかをするんだろう。
というわけで、柚葉には会えなくなってしまった。
「けど…ま、いっか。
圭介、家にいるといーな〜」
獄激辛ペヤング一緒に試そう!
にしてもつくづく大寿といい九井たちといい、気味の悪い連中だったな。
こんなことならどら焼き在庫分全部買ってもらえばよかったわ。
そんなことを考えながら飲み物に口をつけ、
道中を急いだ。