第10章 return
「ちょ、何やってんの?返しっ」
「何って会計してんだよ。
他に欲しいもんがあんなら今のうちに入れろ」
「?!?!
いや、あんたに買って貰う筋合いなんてないよ!」
「俺ぁ "金持ち" だからな。
黒龍に来たら、お前にもっと金の価値を見せつけてやる。」
「ちょっ?!こんなの買ってもらってもそっちには行かないよ?!」
「安心しろ。そういうつもりじゃねーよ。
こんなの飴玉1つ買ってやんのと変わんねーんだから。」
ランはあたふたしたが、
こいつに何を言っても話が噛み合うわけないと思い、諦めた。
ため息を吐きながら視線を落とすと、
レジ前の新商品エリアに"ペヤング"を見つけた。
<食べ比べどうですか?>
などと書かれており、普通のペヤングと、
新商品であろう"獄激辛"と書かれている真っ赤なパッケージの物が置かれている。
(あ!そうだ!!ペヤングと言えば!!
圭介んちに行こう!!)
ランはすぐに思い立ち、普通のペヤングと新商品のペヤングを1つずつとって急いでカゴに入れた。
「1つずつでいいのか?全部買っていいぞ」
「うん。半分コにすんの。」
大寿の言葉にそう返答し、思わず頬を緩めた。