第10章 return
「コンビニに来ちゃ悪いわけ?
どこで買い物しようと人の自由でしょ?
勝手にシマとか決めつけられて、ただ歩くことも買い物することもダメなわけ?
それより、あんたこそなんで自分以外を店内に入れないようにしてんの?その王様気取りいい加減にしたら?」
捲し立てるように言ったその言葉に、ついに大寿の眉間に皺が寄った。
あ…ヤバイ。
ちょっと言い過ぎちゃったかな?
ランも急いで臨戦態勢に入ろうと床にカゴを置く。
すると、大寿が突然笑い始めた。
「ははははは!!!
お前やっぱつくづくいい女だぜ月乃!
いつ黒龍に来るんだ?!あ?!
八戒の野郎にも言ってんだけどな!」
「行かないから。いつまで言ってんの。
ただ私を金集めに使いたいだけでしょ」
「そりゃあそうだろ何が悪い?
お前ほど使える奴ぁ早々いねぇ。」
「あのさ…」
「?」
「なんであんたんとこは、そんなに金金金なの?」
ランの言葉に、大寿はぽかんとした表情になった。
「お金以外に、もっと大切で価値のあることって
あると思う。」
「・・・」
一瞬の間があいたあと、ランはすぐにカゴを拾い上げ、レジに向かおうとした。
しかしなんと、
バッとそのカゴを大寿に奪い取られ、大寿は自分のカゴごとレジに行ってしまった。
意味がわからなくて呆気にとられたが、急いで追いかける。