第10章 return
ランは病院に到着してすぐ、
パーちんの親友の彼女の病室へ赴いた。
一応、院内で首筋のタトゥーが見えないように、
普段は頭に巻いているスカーフを首に巻いた。
その子は本当に酷い有様で、
顔を背けたくなる思いがした。
5日間意識がないらしい。
ランは涙を堪えながらしゃがみこんだ。
絶ッ対に仇をとるから…
無念をはらすから…
小さな声でそう言うと、
後ろから声をかけられた。
「誰だね、君は?」
振り向くと、恐らくこの子の両親であろう2人が立っていた。
「あ…えっと、友達です…」
「あら…お見舞いに来てくれたの?ありがとう…」
「・・・」
苦痛に満ちた歪んだ表情を見ると、更に胸が締め付けられる思いがした。