第10章 return
お子様ランチより先に来たのはドラケンだった。
「なーんだケンちんか。」
「あ"?なんだとはなんだ!」
「万次郎は待ちくたびれてるんだよ、ケン。ぶふっ」
「てめぇまで何笑ってやがる…」
その時、ようやくパンケーキとお子様ランチが到着した。
「わ〜い♡って…あれ?!」
お子様ランチを見下ろしながら、万次郎の顔はみるみる険しくなっていった。
ランとドラケンは察したようにため息を吐く。
「おい店員!!なんだよコレ?!」
「っえ?!い、いかがされましたでしょうか?」
「旗が立ってねーじゃん!!
俺はお子様セットの旗にテンション上がるの!!」
万次郎は完全に不貞腐れてしまった。
店員はとにかくあたふたしている。
「す、すいません!今つけて参ります!」
「一生許さねえ!!もー要らねーよ!」
「ほら、マイキー。旗だぞ。」
グサッと旗を刺すドラケンによって、
万次郎の目はたちまち輝き出す。
「わ〜!!さすがケンちん!!
いっただっきまーす♡」
こんな時のために、ランは三ツ谷と作った手作り旗をドラケンにも渡しているのだ。
「単純馬鹿だな…万次郎」
「大人になってもこうなのか?マイキーは」
「今これならもうずっとこうじゃない?」
「は、勘弁してくれよ」