第8章 resist
「すげーよなぁアッくんは!
こんなでっけーキャバのオーナーで東マンの幹部だろ?いい車乗っていい服着て、いい女抱いてさ。俺とは別世界なんだろうなぁ。羨ましいなぁ」
「金で手に入るもんなんてたかが知れてるさ」
「くぅぅうー!言ってみてぇーっ!」
「一緒にいたやつ、警察だろ?」
突然真剣な視線を向けられ、タケミチはドキリと肩が上がった。
「いーよ、隠さなくて。
弟がいたなんて知らなかったなぁ…
橘日向の弟だろ?」
「なんで…そんなこと知ってんだ?」
「東京卍會てのはそういう組織だ。」
ゴクリと生唾を飲み込んだ。
やっぱり、東マンの者たちは只者ではない。
「なぁ、覚えてるか?
中2の夏、お前がキヨマサくんに逆らった日、皆が帰ったあとお前が俺にこう言ったんだ。…みんなバラバラになって大人になって出会ったらどんな話をするのかな?って…」
「ああ!覚えてるよ!」
こんな話はどうかな…
と、アッくんはタケミチに向き直った。
「お前を線路に突き落としたのは、俺だ。」
え…?
今なんと言った?聞き間違いだろうか?
「確実に殺したはずだった。でも助けた奴がいた。
橘直人だ。あの時、橘直人はお前が線路に落ちることを知っているように見えた。」
タケミチは目を見開いたまま言葉を失っていた。