第8章 resist
「変な事言うけどさ、タケミチお前…
過去に戻れるんじゃないのか?
そして過去の橘直人に助けを求めた。」
「なに…言って…」
突然アッくんはタケミチの肩を譲ってきた。
「そうだろ?!じゃなきゃおかしいだろ!
知ってでもいないと助けられる状況じゃなかった!
なぁ?!おかしいだろ!!」
「やめろよ!!おかしいのはどっちだよ?!
アッくんはそんなんじゃない!!
アッくんはいつも冷静で…友達のために自分を犠牲にできて…優しくって頼りになって、だから…だから…」
タケミチの目から大粒の涙が落ちていく。
「そんなの嘘だっ!
アッくんが俺を殺すわけがない!!
俺の友達だ!!」
「タケミチ…」
アッくんは涙を浮かべて空を見上げた。
「いつからこうなっちまったんだろうな?
俺は今や、稀咲の兵隊だ…
東マンの奴らはみんな稀咲の言いなり。
マイキーくんなんて何年も会ってない…」
「稀咲って…稀咲鉄太…
今からでも遅くねぇよ!東マンなんてやめちまえよ!」
「はは…無理だよ。怖ぇんだよ…
ただひたすら…稀咲が…」
アッくんの声は震えている。
本気で恐怖しているようだった。